Dazフィギュアを利用した、Unityベースのアプリケーション「Vart A Mate」の利用方法を解説するコーナーのその3です。
今回は、Timelineというプラグインを使って基本的なアニメーションを作成する方法を解説します。
まず、「Plugins」(プラグイン)の復習です。プラグインは「機能を拡張するためのファイル」で、「AddonPackages」というフォルダの中に収めて使います。このフォルダはVaMのexeファイルと同じフォルダの中にあります。VaMが起動するときにプラグインファイルを読み込んで、その機能が使えるようになります。プラグインのファイルは、すべて拡張子が「.var」になっているので、覚えておきましょう。
今回扱う「Timeline」は、Daz StudioのTimelineととてもよく似ていますが、使い方が独特なので覚えるのにちょっと時間がかかるかもしれません。でも、とてもシンプルなツールなので、一度覚えれば使いこなせるようになるでしょう。
ではさっそく始めましょう。
今回使うのは、Acid Bubbles様の「Timeline v6.0.0」とVamJapan様の「Desktop Screenshot」になります。
人物Atomに「Desktop Screenshot」を当て、カメラを回転させてみる
それでは前回説明した、Creatorツールをクリックして、フィギュアのアピアランスを変更し、服を着せておきます。
今回は以下のような服を着せてみました。
ではEdit Modeにチェックをつけて、「人が二人」のアイコンをクリック、人物Atomのプロパティを開きます。
メニューから「Plugins」を選択。「Add Plugins」をクリックします。
空のプラグインが出来たので、Select Fileでプラグインを選びます。
まず、VamJapan様の「Desktop Screenshot」を当ててみましょう。
「DesktopCameraCntrol.cs」というファイルを選択します。
「Open Custom UI」をクリックして、プラグインの詳細を設定するダイアログに移動します。
この一連の操作は、プラグインを当てるときにいつも同じなので覚えておきましょう。
それでは「DesktopCameraCntrol」を使って、カメラを動かしてみましょう。
このプラグインで主に使うのは、回転(Rotation)です。
まず、「Master Speed Multiplier」の数字を高くすると、動作が早くなります。
「Rotation Key」がeキーに割り当てられています。キーボードeキーを押しながら、さらにフィギュアからちょっと離れたところを左クリック押し下しのままマウスを動かすと、カメラがその方向に回転します。
図では左右にカメラを回転させています。
上方向にカメラを回転してみました。
この「DesktopCameraCntrol」を使った回転はとても便利な機能なので覚えておきましょう。
人物Atomに「Timeline」を当て、アニメーションを作成する
では同じように空のプラグインを作成し、「Select File」を選択します。
左端のShortcutsからAcid Bubbles様のTimelineを見つけ出し選択し、「VamTimeline.AtomAnimation.cslist」をクリックします。
では「Open Custom UI」からTimelineのメインウインドウに入ります。
さて、ここからアニメーションの作成に入ります。
まず、「Targets」の横にあるプラスをクリックします。
このターゲットというのは、キャラクターの体のどの部位をアニメーションさせるのか、ターゲットを選んでくださいという意味です。
「Controllers」のところに、VaMの人物Atomで選ぶことができる体の部位が表示されますので、Addで表示されているものを追加していきます。Addを三回クリックすると、一番動かしそうな「頭」「右手」「左手」が次々に選ばれます。
選択されたものは、左側のControllersに加わります。この部分がフィギュアの動きを決めていくタイムラインになります。
デフォルトでは二秒のアニメーションが作成できるタイムラインになっています。
ではキーボードのTキーを押して、フィギュアの可動部分を表示します。
まず、ヘッド部分の緑点を押し下したまま動かして、ヘッドの0秒の部分のヘッド位置を指定します。
クリックするとギズモが出てきますが、ここではギズモを出さずに押し下したままマウスを動かすことにより、直感的な操作が可能です。
左に振ってみました。
次にタイムライン上の1秒のところに目盛り線を移動させ、そこ部分で頭を右に振ってみます。
すると単純に2秒間で頭を左右に振るアニメーションが完成します。
次に左手を左右に振って「バイバイ」するようなアニメーションを作ってみます。
ここでは左手の緑点をマウスクリックして、ギズモを表示します。
xyz方向の矢印はその方向単体に左手を動かします。
3つの球体は、3方向に左手を回転させます。
タイムライン0秒のところで、腕を前に突き出し、手のひらを左に回転させてみました。
続いて、タイムラインの1秒のところで、手のひらを反対側に回転させました。
タイムラインのLhandの1秒後にも、動きが記録された●が表示されています。
最終的にこんなアニメーションが完成します。
Allもしくは、Anim1をクリックすると、再生されます。
アニメーションに表情を付ける
続いてアニメーションに表情をつけてみましょう。
表情はDaz Studioとまったく同じで、モーフにより表情を付けます。
タイムラインにお目当ての表情のモーフを表示させるところから始めます。
「Fav morphs & Resync in Control tab」をクリックします。
「Female Morphs」のタブに移動しました。
Categoryをクリックし、たくさんある種類からPose/Head/Expressionを選択します。
VaMでは表情はPoseに類型されます。
Morphは体の部位の形を変更するのに使われます。
単純にMorphとPoseの二類型からカテゴリーは出来ています。
今回はExcitementを使います。Favにチェックを入れてください。
もとのプラグインタブに戻ってみると、「Target」のParam(パラメータ)に「morph:Excitement」が追加されていました。Addをクリックして、タイムラインにExcitementのモーフを加えます。
タイムラインにgeometryが加わり、Excitementの表示が加わっているのが見えますね。
1秒後のところにExcitementの表情を加えます。「Target」タブのところで、右上のExcitementスライダーにチェックを入れ、スライダーを動かして興奮した表情を1秒後に加えます。
最終的にこんなアニメーションが完成しました。
完成したアニメーションを保存する。
「Edit」で作成したアニメーションに名前を付けましょう。
ここでは「Shake Hand」という名前を付けました。
アニメーションの保存はシーンとして保存する形になります。
つまり、フィギュアのAtomや服、アニメーションと丸ごと保存するということです。
VaMのタイムラインではアニメーションだけ保存するという概念がないので、シーンで保存すると覚えておきましょう。
では、別のフィギュアに同じアニメーションを適用する場合、どうするのでしょうか。
アニメーションのあるシーンをひとまず読み込み、「Appearance Presets」から別のフィギュアに変更してしまえばよいわけです。
さて、赤いファイルのアイコンをクリックして、シーンの保存に移動します。
適当なファイル名をつけて、アニメーションシーンを保存します。
保存の最終過程はアイコンの登録です。
「Fov」で画面のサイズを調整し、Aキー(右移動)とDキー(左移動)で微妙な調整をしてみてください。
アイコンの保存ですが、四角の中をクリックすれば保存がされます。
うっかりクリックすると位置調整の前に保存されて変なアイコンになるので、注意しましょう。
管理人のコメント
VaMの紹介3回目でプラグイン「Timeline」によるアニメーション制作を紹介しました。
しかし、VaMの素晴らしさは、アニメーションを作りこまなくても、プラグインを使えばある程度、フィギュアの動的な動画が作成できるところです。
これはどういうことでしょうか。
次回は、呼吸に伴う体の動きや、視線移動、単純な立ち位置の時の微妙な手足の動きや、表情の変化を自動的にフィギュアに適用してくれるVaMのプラグインを紹介します。